イギリスにおける商事法の発展

手形が紙幣となるまで

法律・経済・歴史の視点からアプローチした英米手形法史の決定版!

著者 ジェイムズ・スティーヴン・ロジャーズ
川分 圭子
出版年月日 2011/01/30
ISBN 978-4-335-35486-1
Cコード 3032
判型・ページ数 A5 上製 ・ 308ページ
定価 3,850円(本体3,500円+税)
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内容紹介
目次

現代アメリカ商事法の第一人者が、商取引の現実に適合する法的ルールを作り上げるために、イギリスの経済発展のなかで生成・整備された商業実務や商事法の歴史を、13世紀末から19世紀初頭にかけての判例を詳細に分析し実証的に繙きます。
 それまで流通性のなかった手形が、17世紀後半から19世紀前半の西洋の経済拡大の時代に流通性を帯び、支払手段として転々譲渡されるようになりました。本書では、手形行為の書面性・無因性、善意有償所持人保護の原則など手形の流通性を保証する近代手形法の基本原則がコモン・ロー裁判所の中で生成されていく過程を、判例調査を通して明らかにしています。
 手形の流通性を問い直し、これまでの流通証券法史の解釈に重要な修正をせまる法律学、歴史学、経済学いずれからも興味深い渾身の書です。


第1章 中央裁判所、商事法、商慣習法
 I 中央裁判所における商事訴訟
 II 商慣習法と商事裁判所
 III 中央裁判所における商慣習法
第2章 初期の為替業務・商業実務
 I 送金手段としての為替取引
 II 金融としての為替取引
 III 為替の二重の機能
第3章 初期の為替取引――私法
 I 商事裁判所における為替契約
 II 海事裁判所における為替契約
 III コモン・ロー裁判所における為替契約
第4章 初期の為替取引――公法と政策
 I 為替における高利をめぐる論争
 II イングランドにおける為替論争
 III 為替をめぐる公的論争の重要性
第5章 為替取引から為替手形へ――商業実務の変容
 I 為替取引の時代と為替手形の時代
 II 仲介人経済と内国為替手形の発達
 III 17、18世紀の為替手形の経済的機能
  1 支払い手段としての為替手形
  2 信用の手段としての為替手形
  3 為替手形と銀行業
第6章 商慣習(custom of merchants)と為替手形法の発達
 I 為替手形訴訟と為替契約訴訟
 II 為替手形訴訟のための訴答の発展
 III 訴答手続の変化の意味
 IV 商慣習の役割
第7章 17世紀の大陸法学者と為替手形法
 I 商慣習法と為替に関する大陸法文献
 II 17世紀イングランドの商慣習法文献の政治的背景
 III 大陸法吸収のための真剣だが失敗に終わった試み
 IV 吸収の不可能性
第8章 譲渡性(transferability)と流通性(negotiability)
 I 譲渡性
  1 裏書
  2 持参人払い式証券の譲渡
 II 約束手形訴訟―手形法と債権債務に関する一般法の区分
 III 善意有償所持人の権利
第9章 18世紀の為替/約束手形法
 I 引受
 II 引受/支払呈示の遅滞と拒絶通知
 III マンスフィールド卿と為替手形法
第10章 融通手形(accommodation bill)の問題
 I リヴシー社の破産と融通手形
 II 融通手形訴訟の経済的背景
 III 融通手形に対する司法の対応
  1 リヴシー社の架空受取人訴訟
  2 融通手形との継続する戦い
 IV 大団円―融通手形との妥協への到達
 V 経済論争における法の役割の一例としての融通手形論争
結論
【参考文献・事項索引・判例索引】
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