国家と言語

前近代の東アジアと西欧

王権・国家と言語の問題を、歴史学・文学・言語学の共同研究から問う、新しい試み

著者 土方 洋一
渡辺 節夫
出版年月日 2011/03/20
ISBN 978-4-335-25063-7
Cコード 3020
判型・ページ数 A5 並製 ・ 324ページ
定価 3,520円(本体3,200円+税)
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内容紹介
目次

国家とはなにか、民族とはなにかが、いま問われています。本書は、国家や権力を可視化し、権力をうみだすシステムでもある「ことば」に着目するという斬新な手法で、近代国民国家の歴史的形成過程を解明する試みです。

序論 前近代の言語と国家・王権(渡辺節夫)

第一部 古代の社会・言語
第一章 日本古代の国家と「ことば」(北村優季)
  はじめに
 I 日本語表記の展開
 II 漢字・漢文の位相
 III 文字の力
  おわりに

第二章 ふたりの武帝と表現者たち――古代中国の皇帝権力と文学(大上正美)
  はじめに
 I 漢の武帝と司馬相如・司馬遷
  1 漢の武帝の時代
  2 司馬相如の皇帝讃美と諷諫性
  3 司馬遷と発憤著書
 II 三国魏の曹操(武帝)と曹丕・曹植
  1 曹操と建安文学
  2 曹丕と曹植の文学認識
  3 曹植詩、その抒情と仮構

第三章 ローマ属州エジプトにおけるラテン語(阪本 浩)
  はじめに
 I バイリンガルなエリート
 II 属州エジプトにおけるギリシア語
 III ラテン語の碑文と文書
 IV 言語の習得
  おわりに

第二部 中世の社会・言語
第四章 アングロ・サクソン イングランドの翻訳文化――自国語の形成とアルフレッド王(山内一芳)
  はじめに
 I アングロ・サクソン イングランドの翻訳文化と自国語の形成
 II 初期アングロ・サクソン イングランドにおけるラテン語と自国語
 III 注解と翻訳――ラテン語から自国語へ
 IV 古英語訳『牧夫の心得』の序文とアルフレッド王の文化復興政策 
  おわりに

第五章 仮名文の成立と、その領域――平安朝の表記体をめぐって(土方洋一)
 I 仮名文の起源
 II 仮名文体の模索期
 III 和歌の表記とその周辺
 IV 仮名物語の成立
 V 物語の終わり方
 VI 展望

第六章 庭中・寄沙汰(藤原良章)
  はじめに
 I 庭中言上
 II 庭中
 III 寄沙汰
 IV 請取沙汰
  おわりに

第七章 フランス中世国家の法と概念――慣習法と学識法(渡辺節夫)
  はじめに
 I 国王主権(souverainet?)の成立へのローマ法の寄与
  1 ローマ法の浸透と王の法制定権
  2 王の至上権の理論とローマ法
  3 法諺「王はその王国内における皇帝である」の確立
 II 慣習法の尊重と法的基盤の確立
  1 慣習法の広域化
  2 慣習法書の成立
  3 慣習法の尊重と変容
 III 国王主権の内実の具体化
  1 公益概念の浸透
   (1)公益と福利
   (2)公益と裁判・勅令 
  2 法・規範制定権
   (1)真の勅令の成立の経緯
   (2)勅令の慣習法への反映
  3 裁判権と王権
   (1)裁判と証拠主義
   (2)法廷決闘の制限
   (3)上訴制の発展と展開
  おわりに

第三部 近世の社会・言語
第八章 十五、十六世紀フランスにおける国家起源論(西澤文昭)
  はじめに――国語の成立・起源の探求
 I 「トロイア起源説」の変遷――初出から十五世紀まで
 II ジャン・ルメール・ド・ベルジュの『ガリアの顕揚とトロイアの特殊性』
  1 フランクスという名前について
  2 ヨーロッパの国々がいずれもトロイアの子孫であるということ
  おわりに

第九章 日本近世文学における王権――馬琴・京伝読本における南北朝(大屋多詠子)
  はじめに――近世における出版統制と文芸
 I 『松染情史秋七草』と馬琴の南北朝観
 II 『『松染情史秋七草』と「お染久松」
 III 『双蝶記(そうちょうき)』と南北朝
 IV 『双蝶記』と『奥州安達原』
  おわりに

第十章 三組の恋人たち――シェイクスピアにおける個人と国家(狩野良規)
  はじめに
 I 『ロミオとジュリエット』
 II 『トロイラスとクレシダ』
 III 『アントニーとクレオパトラ』
  結び
 
 あとがき(土方洋一)
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