〈群島〉の歴史社会学

小笠原諸島・硫黄島、日本・アメリカ、そして太平洋世界

太平洋に浮かぶ小さな群島。そこに生きる人の眼から近代世界をとらえなおす。領土問題を考えるための必読の1冊!

著者 石原 俊
出版年月日 2013/12/30
ISBN 978-4-335-50133-3
Cコード 1336
判型・ページ数 4-6 並製 ・ 202ページ
定価 1,540円(本体1,400円+税)
在庫

在庫あり

弘文堂ネットストアでご注文

ネット書店でご注文
内容紹介
目次

【「序 群島の想像力」より】
 現在日本の主権下にある領域も、6,000以上の島々から成り立っている。だが、この群島に住む多くの人びとは、自分の足元が島であることをみごとに忘れてしまっている。(…)「日本人」の何割かの人びとは、21世紀入っても冷戦的思考回路からの転換が最も遅れた〈冷戦ガラパゴス〉(…)というべき想像界の〈島〉に自慰的に閉じこもり、それら現実の島々の領有権問題が浮上するたびに、東アジアの人びとに対する敵対心をたぎらせ、国内の旧植民地出身者(の子孫)たちに対する退行的な人種主義を反復し続けている。

序 群島の想像力

第1章 世界市場と群島のエコノミー――海のノマドの自主管理空間
 はじめに
 1-1. 18世紀、トランスアトランティック
    ――収容所としての帆船、自主管理空間としての海賊船
 1-2. 19世紀、トランスパシフィック
    ――収容所としての帆船、自主管理空間としての群島
 1-3. 世界市場とノマドのアナーキー
    ――小笠原諸島と捕鯨業のエコノミー
 おわりに

第2章 主権国家と群島のエコノミー――捕捉される海のノマド
 はじめに
 2-1. ノマドと主権者のあいだ
    ――小笠原諸島とジョン万次郎のエコノミー
 2-2. 群島を乗っ取る海賊
    ――間太平洋資本主義の興隆と「ブラックバーダー」のエコノミー
 2-3. 主権国家とノマドの捕捉/越境
    ――小笠原諸島とラッコ・オットセイ猟のエコノミー
 おわりに

第3章 帝国の〈はけ口〉と〈捨て石〉――入植地から戦場へ
 はじめに
 3-1. 帝国に乗っかる海賊
    ――小笠原諸島と「南洋」進出のエコノミー
 3-2. 帝国の〈はけ口〉へ
    ――硫黄諸島と拓殖プランテーションのエコノミー
 3-3. 帝国の〈飛び石〉から〈捨て石〉へ
    ――総力戦と動員/難民化
 おわりに

第4章 冷戦の〈要石〉と〈捨て石〉――占領と基地化・難民化
 はじめに
 4-1. 「南洋」から〈アメリカの湖〉へ
    ――小笠原諸島・硫黄諸島からみた「戦後」の起点
 4-2. 冷戦の〈要石〉=〈捨て石〉へ
    ――軍事基地化と動員/難民化
 4-3. ポスト冷戦の〈要石〉=〈捨て石〉へ
    ――基地の整理/固定化と開発/難民化
 おわりに

結 地政学を超える系譜学へ

あとがき
弘文堂スクエア
こども六法 第2版 特設サイト
実務の技法シリーズ特設サイト
採用情報
新・社会福祉士シリーズ