子育てと仕事の社会学 ―女性の働きかたは変わったか

働く女性の結婚・出産・子育ての現実。なにが女性を働きにくくしているのか? 「子育ても仕事も」が可能な社会を実現する方策とは。

著者 西村 純子
出版年月日 2014/07/24
ISBN 978-4-335-50137-1
Cコード 1336
判型・ページ数 4-6 並製 ・ 170ページ
定価 1,430円(本体1,300円+税)
在庫

在庫あり

弘文堂ネットストアでご注文

ネット書店でご注文
内容紹介
目次

【「あとがき」より】 仕事をするなら、安定した雇用条件のなかで、やりがいと相応の見返りのある仕事をしたいと、多くの人が願っているはずだ。そうした仕事が、強い時間的拘束とのひきかえにしか得られない、また、そうした仕事からいったん退くと、再び戻れるチャンスが閉ざされてしまっていることが、今の日本社会で子どもを育てながら、仕事に――ときには「細く」ときには「太く」―― たずさわっていくことを難しくしている。(…)子どもを育てることも、働くことも、どちらにも、そこにしかない喜びと味わいがあると思う。その両方を、願う人は誰でもがあたりまえに追求できるような社会をつくっていくために、本書の議論がささやかでも貢献できることを願う。

第1章 「女性の社会進出」?――M字型カーブが示すもの
     M字型カーブとその変化
     M字の変化が語ること/語っていないこと

第2章 結婚、出産・育児と女性の就業
   1.結婚を経て就業継続する女性は増加したのか?
     結婚時の就業率
     結婚を経た就業継続率
     算出方法によって異なる就業継続率の「みえかた」
     若い世代ほど、結婚にかかわらず働くようになった?

   2.出産を経て就業継続する女性は増加したのか?
     「結婚による」行動と「妊娠・出産のための」行動の区別は難しい
     出産後の就業率
     出産を経た就業継続率
     1960年代・1970年代生まれの出産前後の就業率と就業継続率
     変わっていない低い就業継続率

第3章 女性の就業行動を説明する理論
     就業行動を枠づけ、方向づける社会的メカニズム
   1.マクロ・レベル:グローバリゼーション論、福祉国家類型論

   2.メゾ・レベル:労働市場構造論、マルクス主義フェミニズムの理論
     二重労働市場論
     日本的労働市場構造論
     マルクス主義フェミニズムの理論

   3.ミクロ・レベル:ストレス論、人的資本理論、統計的差別論
     ストレス論
     人的資本理論
     ダグラス=有沢の法則
     統計的差別論

第4章 戦後の日本社会の歴史的文脈――女性の就業行動を左右する要因の歴史的変動
   1.マクロ・レベル:日本経済の動向と福祉国家としての歩み
     日本経済の動向
     福祉国家としての戦後日本社会の歩み

   2.メゾ・レベル:労働市場の構造変動と社会政策の展開
     戦後日本の労働市場の構造変動
     家族のありかたや女性の就業行動に関連する社会政策
      ①男女雇用機会均等法
      ②育児休業法
      ③介護保険制度
      ④児童福祉法等の一部改正と保育制度
      ⑤男女共同参画社会基本法

   3.ミクロ・レベル:親族や夫の援助、人的資本としての学歴、夫の収入水準、職場の雇用慣行
     ソーシャルサポート要因:親族による援助と夫の家事・育児参加
     女性の高学歴化
     夫の収入水準
     職場の雇用慣行:コース別雇用管理制度

   4.社会経済状況の変化と女性のライフコース

第5章 出産・育児期の女性の就業行動とその変化は、どのように説明されるのか
    ――出産・育児期の女性の就業の規定要因
   1.出産・育児期の女性の就業行動にかんする研究動向
     学歴の効果
     夫の収入の効果
     親族(=親)サポートの効果

   2.出産・育児期の就業の規定要因:1960年代および1970年代生まれの女性にかんするデータ分析
     「変わる」ことが期待された世代
     「育児期」の異なるいくつかの局面
     出産2年前から出産年にかけての就業の規定要因
     なぜ学歴の効果が1960年代生まれにしかみられないのか?
     出産2年前の職業・家計状況・サポートを考慮した分析
     出産1年後における就業の規定要因
     出産後10年間の就業継続の規定要因

   3.小括:出産・育児期の女性と日本の労働市場
     「働き続けられる職場」「働き続けられる仕事」の限定性
     出産前/出産後の就業を規定する異なるメカニズム
     「女性は働きやすくなった」のか?

第6章 出産後からポスト育児期にかけての就業キャリア
   1.第1子出産後の就業状況
     ポスト育児期の就業を問うこと
     出産後の就業状況
     出産後の就業変化

   2.第1子出産後の再就職の趨勢とその規定要因
     どのくらいの人が、いつごろ再就職するのか?
     再就職の規定要因:これまでの知見
     再就職の規定要因についての分析

   3.再就職の「その後」
     空白にされてきた再就職の「その後」
     再就職時の就業形態とその後の変化
     再就職後の、さらなる就業変化の規定要因

   4.出産時に仕事をもっていた人の退職行動

   5.小括:出産後のキャリア形成
     再就職の趨勢
     再就職後の就業キャリア
     出産年に就業していた女性の退職リスク
     企業の人材形成システムと出産後の女性のキャリア
     再就職後も続く「育児か、仕事か」の選択
     親からのサポートの重要性・再考

第7章 シングルマザーの就業キャリア
   1.日本のシングルマザーたち
     増加するシングルマザー、厳しい経済状況
     働けど、依然苦しい
     本章の問い
   
   2.シングルマザーの就業キャリアについての研究動向

   3.シングルマザーになってからの就業変化
     10年後までの就業状況
     10年間の就業変化

   4.シングルマザーになってからの正規雇用への転換可能性および退職のリスク
     正規雇用への変化
     退職のリスク

   5.小括:シングルマザーの就業キャリア
     シングルマザーの暮らしに相容れない、正規雇用者の働きかた
     労働市場での周辺的なポジションとその帰結
     シングルマザーの就業を難しくする、日本に特徴的な雇用関係

第8章 「子育ても仕事も」が可能な社会へ
   1.国際比較からみえる日本の女性の働きかた
     就業率の増加に比例しない、幼い子どもをもつ女性の就業率
     みえない「高学歴化」の効果
     みえない「短時間労働」のメリット
     日本の特異性の理由

   2.本書の知見
     変わっていなかった、出産を経た女性の就業継続
     出産を経た女性の就業行動に変化がみられなかった理由
     再就職後のキャリア形成を阻むもの
     正規雇用者の働きかたとシングルマザー

   3.「子育ても仕事も」できる社会に向けて
     「安定した、よい仕事」に働く時間の柔軟性を
     「親に頼らなければ乗り切れない」のではなく…
     保育園の整備は子どもの権利を保障する観点から
     「安定した、よい仕事」にキャリアの途上から参入するルートを
弘文堂スクエア
こども六法 第2版 特設サイト
実務の技法シリーズ特設サイト
採用情報
新・社会福祉士シリーズ